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  • まいまい@魔性の女

連載小説 ~再会は突然に~1

 

 ダメンズウォーカーな私がニセダメンズに溺愛されました。

「私みたいな男運のない人間は、もう世の中の片隅でひっそりと生きるしかないのよー!」

缶酎ハイを煽りながら、夢の中の私が大声で叫んでいる。これ以上傷つきたくないなら、それが一番。そう思いつつ、自虐的な自分の言葉に心がきしむ。夢なら夢らしく、もっと幸せな気持ちになれるヤツを選んだらいいのに、私ってホント選択を間違えすぎる…。このまま、気分がどん底に落ち込む前に早く目覚めなきゃ、そう思って自分に声をかける。

「早く起きろー!」

実際に口にしていたらしい自分の声に驚いて、真樹は目を開けた。

まず目に入ってきたのは、やたら白い天井。

あれ、家ってこんな白い天井だっけ?

そう思いながら、ぐるりと周囲に目を向けると、これまた見知らぬチャコールグレーのサイドボードにテレビ。

「は?ここどこ?」

 真樹は、慌てて上半身を起こした。そこはビジネスホテルの一室のようで、彼女はシングルサイズのベッドの上にいた。そして次の瞬間、頭にキリを打ち込まれたような頭痛が襲ってくる。

「あいたたた~」

頭を抱えた真樹に、先ほどの夢の内容がオーバーラップする。

あのセリフ、まさか現実の世界の出来事だったんじゃ…。真樹は真っ青になった。

意識を失うほど酔っぱらったのは初めての経験で、頭の痛みに耐えながらも、恐る恐る昨日(多分)起こった出来事を思い出してみる。

完全に酔っぱらうまでのことは、すぐに思い出せた。

 昨日は退職した元同僚に会うために、家からちょっと離れたお店に同期で集まり、よもやま話に花を咲かせて、気づいたら終電間近になっていた。それであわてて駅に向かう途中、チャラついたカップルとぶつかってしまったんだ。で、謝ろうと思って男性の顔を見たら、なんと半年前まで付き合っていた元カレではないか。

 元カレは「ゲっ」って顔をしてたと思う。でも彼にしがみつくように腕をからめ、やたらピアスをつけたギャル風の女の子が、誰?みたいな視線を元カレに向けると、固まっていた元カレは形勢を立て直した。にっこりと女の子に笑いかけ、

「あー、これ知り合いのおねーさん。以前ちょっとお世話になって」

なんて言ったんだ。ギャル女は不信感満載でふーん、と返す。

「じゃあ、俺たちこれから飲みにいくからー」

と元カレがそのまま立ち去ろうとするから、真樹は思わず彼の腕をつかんだ。

「ちょっと待った、まさかこのまま逃げるつもり?」

 何を隠そう半年前、コイツは私の家から目ぼしい家具家電と、結婚資金として貯めていた二人の貯金(という名の私の貯金)を持ち逃げした張本人なのだ。

 会社から帰ってきた真樹を迎えたのは、ほぼすっからかんになった部屋と、たまたま訪ねてきた妹の由樹の『え、お姉ちゃんいつからミニマリストになったの?』という言葉だったんだぞ。そのあと妹にさんざん説教されて、あんたがいなくなったことより、そっちの方が堪えたんだから。

 しかし、彼はとっさに掴んだ真樹の手を強引に振り払い、そのせいでバランスを崩して、真樹は後ろに倒れ込み、尻もちをついてしまった。とたんに周りの歩行者が足を止め、注目が集まる。

「なんだよ。離せよ。しつっこいなあ、付きまとうのもいい加減にしろよ!」

頭上からかぶせられるように響く彼の怒声。

「やだ、ストーカー?」ギャル女の嘆く声がする。

「何言ってんの?私の荷物とお金返してよ!」

真樹も精一杯言い返そうするけれど、恥ずかしさと恐怖のあまり声が震える。

「そっちこそ何?俺だって寂しいおねーさんのお世話をしてあげたんだから、お互い様でしょー」

元カレはニヤニヤと嫌な笑い方をして、ギャル女と一緒に真樹を見下ろしていた。

 さっき私を突き飛ばしたときの剣幕といい、今の心底私をバカにした態度といい、付き合っていた頃には見たことのなかった元カレの冷たい態度に、まるでその場に縫い留められたように、真樹は固まってしまった。

「てことで、もう会うこともないけど、元気でねー」

ああ、まただ。いつもと同じ恋の終わり方…。持ち逃げまでされるのは初めてだったけど。

 悔しさと情けなさで涙目になった真樹を置き去りに、元カレと女の子は意気揚々と去ろうとした。その時、

「こんな場所で何をしてるんですか?」

 真樹の目の前に2本の脚が立ちふさがった。

 

 つづく

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